ブログ/use-cases·2026年9月7日·2分·執筆:eroqチーム
フリーランスのAI動画制作、料金の決め方:実践メソッド
納品物1本あたりのクレジット原価を出し、レンダリングではなく成果に値付けし、修正に耐えるスコープを書き、クライアントのワークスペース利用に対応する方法。
「で、これ1本いくらでやってもらえるの?」と最初に聞いてきたクライアントは、たいてい的外れな答えを受け取ります。フリーランス側は、15秒の広告がサンドイッチ1個より安くレンダリングされるのを見たばかりで、その数字が頭から離れないからです。その数字は本物ですが、あなたの価格ではありません。ここでは、その数字を正しく計算する方法、その使い道、そして3回目の修正ラウンドで案件の利益が消えないようにスコープを書く方法を解説します。
ステップ1:納品物1本の原価を正確に出す
いちばんよく受ける納品物の原価を、忘れがちな部分も含めて最初から最後まで計算します。例として15秒の縦型広告を取り上げます。5秒のショットが3つ、商品が1つ、ナレーションが1行です。
- 商品の静止画(参照用)を6枚、1枚10クレジット:60クレジット
- ドラフト:各ショットをSeedance 1.0 Liteで3秒ずつ1回、1本72クレジット:3 × 72 = 216
- 本番テイク:各ショットをKling 2.5 Turboの1080pで5秒ずつ2テイク、1本170クレジット:6 × 170 = 1,020
- ナレーション:220文字のセリフをVoice Oneで、100文字あたり3クレジット、3ブロック分:9クレジット
合計1,305クレジット。 Creatorプラン(6,000クレジットで$49)なら1クレジットあたり$0.00817なので、$10.66がこの納品物の原価です。エントリー向けパックの単価なら$13.05になります。
次はもっと重い案件です。6ショットで構成し、フラッグシップエンジンで仕上げる30秒のブランド動画を見てみましょう。
- 静止画10枚:100クレジット
- Liteでの3秒ドラフト6本:432
- Seedance 2.5で5秒の本番6本(1本310クレジット)に加え、難しい3ショットはもう1テイク:6 × 310 + 3 × 310 = 2,790
- Voice Oneで450文字のナレーション、5ブロック:15
Creatorプランの単価で、合計3,337クレジット、約$27.25です。
どちらも推測ではなく、公開されているエンジンごとの料金から計算した数字です。その裏にある考え方(追加1秒あたりのコスト、テイク数の倍率、完成尺1分あたりのコスト)はAI動画のコストはいくらかかるかで解説しています。
ステップ2:レンダリングに値段をつけるのをやめる
最初の納品物の原価は$10.66です。でも、1,305クレジットを買いたい人はいません。クライアントが買っているのは、実際に出稿できる広告です。木曜日に届き、メディアバイヤーが指定したフォーマットで、どのショットでストーリーを語るかを誰かが判断したうえで仕上がった広告です。
ここでは原価積み上げ方式の値付けが、物理的な仕事では起きない形で破綻します。素材にかかるコストはほぼゼロまで下がったのに、判断の重みは少しも軽くなっていないからです。$10.66に400%上乗せしたところで、1日分の思考に$37を請求しているにすぎません。カメラで撮影した場合と同じように、成果(スコープどおりに、期日までに仕上がった広告)に値段をつけましょう。
原価の数字が役に立つのは比率チェックとしてです。健全な案件なら、レンダリングのクレジットは請求額の数%程度に収まります。それが請求額の30%を占めているなら、薄い利幅で計算資源を転売しているのと同じで、いずれ表計算シート1枚で回している誰かに負けます。
相場は国や業界、クライアントの規模によって違いすぎるため、誠実な相場を公表できる人はいません。記事に載っている数字は(この記事も含めて)鵜呑みにしないでください。似た動画案件でこれまで請求してきた金額を基準にし、原価の行を見て利幅が本物かどうかを確かめましょう。
原価の数字の本当の使い道
- バリエーションの見積もり。 クライアントが9:16に加えて1:1版も欲しいと言ってきたら、3ショットの再レンダリングは1,020クレジットで、本当のコストは編集にかかるあなたの時間だとすぐにわかります。
- リスクの吸収。 テイク数は多めに見積もりましょう。15秒広告で2テイクではなく4テイク撮ると、1,020クレジットではなく12 × 170 = 2,040クレジット。差額は約$8.33で、交渉するほどのリスクではありません。
- 必要なプランの把握。 この広告を月に4本なら4 × 1,305 = 5,220クレジットで、Creator($49で6,000クレジット)の範囲内です。ブランド動画を3本加えると3 × 3,337 + 5,220 = 15,231クレジットとなり、Studio($149で20,000クレジット)が必要です。クレジットは無期限で繰り越せます。プランの段階は料金ページで確認してください。
スコープに含めるもの
レンダリング費用があなたを苦しめることはありません。苦しめるのは作業時間です。だからこそ、時間を食うものをスコープに書き出しましょう。意見が食い違っても、書面を読めば決着がつくくらい具体的に。
- コンセプト。 異なるクリエイティブの方向性をいくつ含めるか。通常は1つで、2つ目は金額を明記しておきます。
- ショット。 納品物1本あたりのショット数。6ショットと3ショットはまったく別の仕事で、絵コンテの段階で初めて発覚するようではいけません。
- テイク。 テイクとは、同じショットを同じ意図で再レンダリングすることです。含まれるテイク数は品質のための予算で、しかも安いので気前よく設定しましょう。1ショットあたり2〜3テイクと明記します。
- 修正ラウンド。 修正とは、納品したカットへのフィードバックのことで、2ラウンドが一般的です。修正に含まれないもの(新しい台本、新しい商品、別のコンセプト)も明記しましょう。押し広げられがちなのはまさにその境界だからです。
- フォーマットと尺。 どのアスペクト比か、短縮版を何本作るか、完成尺は何秒か。エンジンは6種類のアスペクト比に対応しているので、フォーマットは技術ではなくスコープの問題です。クリップの長さはプランごとに上限があり、Creatorは20秒、Studio以上は30秒です。
- ファイル。 何を、どのコーデックで納品するか。そして、半年後でも再レンダリングできるように、プロジェクトのレシピをどれくらいの期間保管するか。
クライアントがワークスペースへのアクセスを求めてきたら
多くの人が気づくのが遅すぎる条項なので、2回読んでください。
個人向けプランはどれもシートがちょうど2つです。 Hobby、Creator、Studioはすべて2シート。上位プランで増えるのはクレジット、速度、クリップの長さで、人数は増えません。つまりクライアントにログインを求められたら、あなたの唯一の空きシート、編集者やパートナーが使っていたシートを渡すことになります。
選択肢は、正解になることが多い順に次のとおりです。
- 渡さない。 ファイルで納品します。アクセスを求めるクライアントの多くは制作途中の様子を見たいだけで、それなら共有フォルダで解決します。
- レビュー用に公開する。 レンダリング結果は「公開」すればリンクだけで見てもらえ、あとから「非公開にする」こともできます。
- 「閲覧者」ロールを付与する。 閲覧者はライブラリと使用状況を見られますが、クレジットは1つも使えません。キューを見守りたいクライアントにはちょうどいい段階です。ただし、2つのシートのうち1つを使うことに変わりはありません。
- クライアントへのアクセス提供も売り物の一部なら、チームプランに移行する。 Teamは$249で25シート・36,000クレジット、Agencyは$499で50シート・80,000クレジットで、1つのウォレットを共有します。
クライアントにシートを割り当てる場合は、/dashboard/workspaceの「メンバー」タブで上限を設定しましょう。メンバーごとにレート制限の配分と月間のクレジット上限を設定できるので、張り切りすぎたクライアントに締め切り前にウォレットを空にされる心配はありません。ロールの段階についてはワークスペースのロールと権限、共有ウォレットについてはチームでのクレジット管理をご覧ください。
まずは、あなたがいちばんよく受ける納品物の原価を出してみてください。動画スタジオを開き、3つのショットをレンダリングして、利用明細を確認します。このワークフローの代理店規模版は代理店・制作会社向けにまとめています。
よくある質問
AI動画広告を1本作るのに、原価はいくらかかりますか?
ドラフト、1ショット2テイク、商品の静止画、ナレーション1行を含む3ショット・15秒の広告で1,305クレジット、Creatorプランなら約$10.66です。フラッグシップエンジンで仕上げる6ショット・30秒の作品なら3,337クレジット、約$27.25です。ご自身の案件は、エンジンごとの料金から計算してください。
クライアントにはクレジット単位で請求すべきですか?
いいえ。クレジットはあなたの原価であって、クライアントが価値を感じる単位ではありません。そのまま転嫁すると、仕事の中身ではなく計算資源について交渉することになります。完成した納品物に値段をつけ、クレジットの数字は利幅のチェック用に手元で使いましょう。
クライアントにeroqのワークスペースへのアクセス権を渡せますか?
渡せます。ただし個人向けプランはどれもシートがちょうど2つなので、クライアントのシートはあなたの協力者のシートです。見るだけでよいなら「閲覧者」ロールを使い、クライアントにシートを用意するのが日常的なら、TeamかAgencyに移行しましょう。
修正は何回まで含めるべきですか?
納品したカットへのフィードバック2ラウンドが一般的な基準です。テイクは別枠で扱い、再レンダリングは安いので多めに設定します。何が修正で、何が新しいコンセプトにあたるのかを書面にしておきましょう。クライアントが押し広げようとするのはその境界です。
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